1900回目の放送では森野熊八が食材を求めて旅する伝える風景や人は尽きず
1970年に放送が始まった旅番組の草分け、日本テレビ系「遠くへ行きたい」(日曜前7・30)が、6日に1900回を迎える。テレビ番組臭さのない「旅そのもの」を見せることに作り手が心を砕き続け、今も高視聴率を保っている。(清岡央)
食とも出会う
6日放送分のロケが3月下旬、東京湾や隅田川を巡る屋形船の上で行われた。
これまでに19回旅した森野熊八が、ダ・カーポや丹波義隆ら、常連の旅人に鍋料理を振る舞った。
具材は、宮城・唐桑半島のカキ、京都のセリ、屋久島のサバ。
どれも、これまでに番組の旅で渡辺文雄が出会った食材だ。
カキは養殖する地元の漁師が、海に流れ込む川の水を栄養豊かにするため、上流の山に落葉樹を植林することから始めたもの。
渡辺が95年の旅で見つけた。京都のわき水でセリを育てる農家を訪ねたのは、京野菜が今ほど知名度を得ていなかった91年。
「首折れサバ」と呼ばれる屋久島のサバは、釣ってすぐ首を折って生け締めにするので鮮度が高い。
98年に渡辺が食べて絶賛した。
24年間、番組を作り続けているテレビマンユニオンの村田亨プロデューサー(67)は「人と出会うとともに、食と出会うのも旅」と話す。観光品ではない、地元で何気なく食べられている食材にこそ光を当ててきた。
台本のない旅
旅人には、マネジャーの付き添いなしで、3泊4日のゆったりとした日程でロケに参加してもらう。
森野は「ほかの旅番組ならせいぜい1泊2日。夜中に到着してすぐ『朝食のシーンを撮ります』ということもある。この番組にはそれがない。本当の旅そのもの」と語る。
台本はない。簡単な進行表だけ。その上、本番まで旅人と地元の人は会わせない。どこからカメラが狙っているかも知らせないことも。
演技でない反応を撮るためだ。「そのぶん、自分の本当の能力や人間性が試される」(ダ・カーポの榊原まさとし)。
若手タレントが旅人になることがほとんどないのも、旅先で出会う地元の人たちと、人間同士のつきあいをするには「大人」の器が必要だからだ。
不親切な番組
宿や交通機関のガイドを加えることも、食べ物の値段を紹介することもない。
「行きたいと思ったら、自分で調べることから旅は始まる。日本一不親切な旅番組だけれど、それでいい」 と村田プロデューサーは言う。
「不親切」に加えて日曜の朝という放送時間にもかかわらず、番組はときに15%もの視聴率(関東地区、ビデオリサーチ調べ)を上げ、根強い人気を保っている。
村田は「まだまだ伝えるべき、風景や町並み、人は尽きない」と話し、さらなる長寿を目指す。
旅した回数の多い出演者(1899回現在)
〈1〉渡辺 文雄366回
〈2〉永 六輔 78回
〈3〉藤田 弓子 77回
〈4〉伊丹 十三 45回
〈5〉ダ・カーポ 26回
〈6〉谷村 志穂 20回
〈6〉東野 英心 20回
〈6〉阿藤 快 20回
〈9〉森野 熊八 19回
〈10〉山村レイコ 18回
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